ロンドン通信 LONDON CALLING No.3 (2012/6/7)

英国での研修中のT中による第三弾のメールマガジン。

皆さんこんにちは。
前回のメルマガから少し時間が空いてしまいました。

ロンドンではオリンピックを目前に、
ダイアモンドジュビリーが行われていました。

ダイアモンドジュビリーとは、
エリザベス上王が即位60周年となるための式典のことです。
日本でもTV報道されていたかもしれませんが、
こちらイギリスでは終日この報道で世間を賑わせています。
街中を歩けばそこら中にユニオンジャックのものが目につきます。
顔にペイントを施した子供達は母親に手を引かれながら笑顔で歩いています。
多くのお店はお休みにするか、早くお店を閉めてしまいます。

6/3~6/6と4日間に渡ってイベントが行われていたのですが、
コンサートなども開かれ様々なアーティストが出演したりしました。

その模様は以下のリンクから見ることができます
(BBCサイト内のiPlayer)

・The Diamond Jubilee Thames Pageant
 http://bbc.in/KX9F2m

・The Diamond Jubilee Concert
 http://bbc.in/LqveY0

皇室関連のイベントでここまで国・国民全体が盛り上がるって、
日本ではなかなかあり得ないですよね。

自分の国を大きな声で愛したり祝福したりするのって
日本ではKY扱いになってしまいますよね。

なぜでしょうか?

少しずつですが僕はこの違いが分かり始めています。

おそらく帰国する時までには答えが明確になっているでしょう。
まだ滞在3ヶ月の若造ですが、自分がこの国で感じれていることを
少しずつですが皆さんにフィードバックしていければと思います。

────────────────────────────────

◆イギリスでの日本の漫画事情

皆さんからの要望の中で一番多かった
イギリスでの「日本の漫画事情」について今回はお届けしたいと思います。
私が実際に書店を回り、またインターネットで得た情報を元に記載します。

まずはこちらをご覧ください。

・英国におけるコンテンツ市場の実態(2011年3月)
 http://www.jetro.go.jp/industry/contents/reports/07000546

ジェトロ社の調査「英国におけるコンテンツ市場の実態(2011年3月)」にて、
Nielsen BookScanによるGraphic Novelsの年間販売数が記載されております。

直近のデータはこのサイトが一番確実のようです。
(2010年のものですが…)

◆グラフィック・ノベル全体:137万1776冊
◆一般漫画 (イギリスコミック):68万8201冊
◆スーパーヒーロー(アメコミ):27万2413冊
◆日本の漫画:39万8158冊

日本漫画は全体の29%ほどです。
イギリスの年度別個別の作品の売上冊数ではなく、
2001年から2010年12月までのシリーズの販売総冊数が出ており、上位3つは以下の通り。

1.ナルト (28万6528冊)
2.DEATH NOTE (21万145冊)
3.BLEACH (18万6389冊)

※先のサイトにてTOP10や年別のランキングも記載されています

前回のメルマガでも簡単に触れましたが、
この国では日本のアニメ・漫画コンテンツは非常にニッチなマーケットです。
調査書を見る限りでは2008年をピークに減少傾向にあります。

こちらの人達と話す機会がある際には必ず漫画をことを聞くように
しているのですが、僕が感じた彼らの漫画の認識については、

・ドラゴンボールは誰もが知っている
・上記のTOP3は割と多くの人が知っている(それ以外はほとんど知らない)
・漫画は子供が見るもの

また、ロンドンでは100%日本のコンテンツを扱ったイベント
「HYPER JAPAN LONDON」が年に一度行われています。

・HYPER JAPAN LONDON
 http://www.hyperjapan.co.uk/

2012年は2月に行われていたため私は参加することができませんでした…
2万人以上の動員数があったようです。
ですが、フランスのジャパンエキスポの動員数19万人に比べると
マーケットの差がはっきりと分かるかと思います。

僕が調べた限りでは、
日本の漫画のみ扱う店舗はロンドンのSOHOに1店舗のみ。
その他は、普通の書店の一角に日本漫画コーナーがあるイメージです。

なぜこうまでもイギリスで日本の漫画が流行らないのか。
以下の問題が考えられます。

・単価の問題
 まず、単価が高い。
 漫画の一冊のあたりの平均単価は7ポンド。
 日本円にして900円近くと、日本で購入する2倍近い金額となります。
 子供のお小遣いで買いにくいですよね。

・仕入れルートの問題
 英訳漫画となっているため、ほとんどのライセンス仕入れ先がアメリカからのようです。
 そのため限られた漫画しか仕入れることができないこと、
 発行までにタイムラグが発生してしまうことが問題となっているようです。

・国民性の問題
 数字では見えない部分です。割とこれが重要かもしれません。
 先ほども記載したように、
 まず多く人達の漫画への認識は「子供が見るもの」という認識があります。
 また、こちらの人々はアニメやゲームよりスポーツや音楽を圧倒的に愛する。
 一人で遊ぶより、誰かと一緒に遊ぶ。
 インドアよりアウトドアを好む、という傾向があります。

・・・という、非常にしょっぱい内容となってしまいましたが、
街中を歩いていても日本キャラクターを目にするのはキティちゃんくらいか。
それ以外、はほとんど目にしません。

日本の漫画は非常にデリケートでセンシティブに描かれていますし、
私自身はほとんどアートに近いと思っているのですが、
(おそらくフランスの方々も思っていただいているでしょう)
この国では日本の漫画コンテンツが爆発的な人気を見せることは、
おそらくないのでしょう。悲しいかな。。。

Leave a Comment





CAPTCHA