会社設立から丸5年経過して想う事。

台風で言えば大型が東京直撃クラスの強風が来ている本日。
株式会社アイディールは設立から6年目の創業記念日を迎える事になりました。

大学を中退し、サラリーマンを10年近く経験し、起業したのが5年前。
まるで昨年くらいのように感じるくらいあっという間の時間でした。

3年未満で廃業するケースが多いと言われる中、何とか5年を乗り切る事が出来ました。
まさに支えて頂いているクライアント企業様やお取引先各位のお陰だと感謝しております。

次は1割未満しか残らないと言われる10年を目指すと共に、このタイミングに5年間について振り返ってみようと想います。VIP風に言うと、自分語りです。


 

2007年 創業

 
何も無い状態からのスタート。
前職の役員時代に雇用していた北京の4人のデザインスタッフを引き受ける形で創業をし、とりあえず出来る事から始める事にしました。

日本には自分が1人。
そして、当時お父様の会社の日本法人で営業を担当していたO島に日本と北京を行ったり来たりして貰いながら、デコメの制作受託をし始めたのが始まりでした。

場所は汐留エリアのマンションの一室。少し広めのワンルーム。以前から取引きさせて頂いていたクライアント様の近くで呼ばれたらすぐ行ける場所に身を置いて、最初は企画書作りでも何でもやろうというスタンスで、実際にデコメの制作だけではなく企画書作成などのお仕事も諸々頂いたりしていました。

幸いにして周囲の助けもあってすぐに売上は上がり始めたので、滑り出しは順調。秋頃にはたまたま紹介されたクリエイターを日本で採用し、その子の素晴らしい制作力とスピードがさらに成長エンジンになりデコメの制作数も一気に拡大。そして時を同じくして電子書籍のオーサリング部隊を構築し、事業領域を拡大し始めたのもこの頃。

その時に採用したクリエイターの子は社内結婚して、現在も外注クリエイターとして関係と取引が続いていたりします。

当初の成功要因と考えているのは、まず公式モバイルサイトを運営している会社は基本的に【必ず素材が必要】で【それを今よりも安く制作】し、【クオリティの良い物を提供】したいという考えを持っている事は分かっていました。
そしてクライアント企業様は制作のニーズが産まれた際にウェブで検索し、そこで制作サンプルと制作価格を見て、今抱えている課題を満たされるのであれば、「●●点のこういったデコメを作りたい」という明確な発注意志を持って連絡をくれます。
なので、1人で回していたとしても新規の営業を行う必要がなかった(完全にPULL型)ため、営業・企画・ディレクション・経理・総務までこなす事が出来たため高い利益率を出す事が出来た訳です。

当初からアイディールが制作可能なコンテンツについては、単独で紹介ページを持ち(デコメならデコメだけ、とか)知識も理解もお金も無い中で単独キーワード勝負のSEO対策で検索ランクを高めて受注を取る事を一番に考えていました。
また、他社との差別化としてクオリティは担保しつつ、中国ラインを活用することでコストを抑える事が実現出来たため「小さなマーケット」での「大きな差別化」になりました。

 

2008年 小さな拡大

 
順調かつ気楽な1年目とは異なり、最初の壁にぶつかったのもこの年でした。
まず、売上が好調だった事はありがたい話ではあるのですが、制作業務以外の全てを1人でこなすのには限界が来ていました。

夜中の2時3時まで事務所にいて、朝8時には会社に来たり、合間を縫って会食をしたら朝がきつくなってまた時間が足りない状態になって、その日は明け方まで会社で仕事して仮眠して・・・。とか、まずは肉体的な苦しさ。
そしてこうやって時間が足りなくなってくると、起業するまではそれなりに自分は何でも出来ると思っていた分、1人で出来る範囲の小ささに愕然としてしまいました。
また、それなりに勉強をしながら起業したつもりが余りに知らない事が多く、やはり自分自身の限界を感じるようになった訳です。
ただこういった時期を経て、いかに従業員達に権限や自由度を与えていくかという現在の発想に繋がっていった分、無駄では無かったと思います。

とは言え、制作受託業務を中心に行っている以上売上にレバレッジを効かせる事も出来ないため、一気に人員を増やすという事も出来ず、大きなジレンマに陥っていたのもこの頃です。

しかし先輩社長のアドバイスなどもあり、少しずつ人員を増やしてゆっくり進んで行こうと決めた事もあり、出来る範囲で歩き始めました。
まずは可能範囲の人数かつ、受注が見込めるスキルを持ったスタッフを採用。
ここから、制作可能なコンテンツの種類を拡大する。の繰り返し。

そして、8月18日には始めての事務所移転。

いくつか内見する中でこんな広い所を借りてちゃんと雇用を守っていけるんだろうか・・・と胃が痛くなったのを思い出します。ただ、こういう気持ちになるような所は、今もあまり成長出来ていません。

そして2008年の後半に大きな転換期を迎えます。それは、当時クライアントの窓口として度々飲みにも行っていたY田が前職を辞めたとの連絡をくれた事でした。
とりあえず食事でもしようという事で西麻布の焼肉屋で色々と話を聞くと、まだ先の事は何も決めていないという。
なら、ウチ来れば?という言葉を吟味した後に、Y田は「じゃあ、そうします」と。

以降、僕が営業のフロントに立ちY田がディレクションを担当して、というタッグで受託周りを回しつつ、キャッシュが無い中でいかに安定的な収益を得るか。という事を本気で模索し始めた時期でした。

 

2009年 安定期

 
アイディールがコンテンツ担当/開発会社さんがサイト開発・運営担当という形で協業し、無事早い段階で最初の月額課金サイトをオープン。現在のアイディールではこのようなコンテンツ提供のモデルをライツ事業の一環として捉えていますが、このように月額課金で収益の下支えになってくれるようなサイトをいくつか立ち上げていったのがこの年でした。

月額課金だと売上にキャップがかかってスケールしないという考えもあったりしますが、アイディールが真に目指している所を考えれば、とにかく小さくても安定基盤になるような収益モデルが欲しいという事でプロジェクトを進めていきました。

そして、現在英国へ語学研修中のT中が入社したのもこの年でした。

Y田はいかに僕に「社長の仕事をさせるか」という事を考え、営業ラインの確立と収益基盤の下支えを堅実化を目指して実現していけたのもこの年だったと思います。入社から1年後、中途入社だったY田はアイディールの役員に加わりました。

ある程度会社の収益基盤が支えられ始めたため、平行して少しずつ従業員も増やし、あっと言う間に引っ越し先の事務所は打ち合わせ室も潰さなければならない程に手狭になっていきました。
この頃、引っ越しを繰り返すよりも最初に少し無理をして想定よりも一回り広い事務所に移転する方が後が楽。というのを学びましたが、これは資本力が高くなければ出来ない事。ただ、事務所選びはケチらずにケチる、という事じゃないかなと思います。

 

2010年 停滞期へ

 
売上は順調に伸びてはいたものの、この頃はあえて停滞期だったと言っておきます。
ようやく自社コンテンツを企画し作り始める事が出来る状況に来ていましたが、結論この年に新しい事で大きなヒットを産む事が出来なかったからです。

基本的にアイディールの事業モデルとしては「コンテンツを制作受託する」分野と「コンテンツをライツする」分野に分けられるのですが、これは2009年頃から大きくは変わっておらず2009年にコンテンツを産む部隊はアライアンス推進部と言い、どちらかと言うと他社さんとの協業モデルを考案する毛色が強く、2010年にはコンテンツプロデュース部と呼び名を変え、自社コンテンツのライツを実現していけるよう大きく舵を取ってきました。

また、2009年から2010年にかけて人材配置などに関して苦しんだ事も思い出します。

これは適材適所をきちんと見分けて、適正なポジションを与えていくという当たり前のセオリーを無視した事が原因だったと思います。適材適所は能力の差ではなくて、能力の違いなだけで、本人も含めてここを間違った見方をしてしまうと誰も幸せにならないという事を経験した時期でもありました。

マネジメントさせるのか、クリエイティブを追求させるのか。

とにかく受託事業は伸びつつ、協業の課金サイトも伸びつつ、他のヒットが出せない年。
この年、一気に拡大したソーシャルアプリの事業に関しても、当社では同じように協業モデルでのプロジェクトはありましたが、運が良かったのか悪かったのか(笑)、結局S-inに至るまでの縁を持つ事が出来ませんでした。

 

2011年 新たなステージへ

 
昨期については1月の年明け時点で少しだけ書きました。
5期目のまっただ中、2012年を迎えて想う事。

停滞していた2010年を経て、とは言え少しずつ売上も伸びて人員も増えていたため、ここからの成長のために2回目の事務所移転を決めた年でした。とにかく能力の高い人材を増やして、その人達が会社を作り上げていってくれる事を考えれば、スペース拡大は必須条件でした。
今期はさらに人材に投資する予定を考えており、新たな制度や福利厚生なども導入し、より仕事がしやすい環境を用意していく事になっています。
 
 
いずれにしても何とか5年間を過ごしてこれただけでなく毎期増収し続けてこれた事は、これまでずっと支えてくれているクライアント企業様や取引先様のお陰なのは間違いありませんので、改めて感謝の想いを強くしなければならないと考えています。
また、自分自身の発想がいかに従業員の力を活かすかという風に変わってきたのも、個人の限界を感じたからでもあります。1人では出来ない事をしてこれたのは、感謝以外の何物でもない訳です。

これからもちょっと面白い物をたくさん産んでいけるよう、日々努力を続けていきたいと思います。
今後共も末永く当社を何卒よろしくお願い申し上げます。

平成24年4月3日
株式会社アイディール
代表取締役 小林淳

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