ロンドン通信 LONDON CALLING No.1 (2012/3/17)

 
 いわゆるこれは「社員ブログ」に限りなく近い形になると思いますが、当社のアカウント事業部(営業部)で責任者をしていたT中を、3月の上旬からイギリスロンドンに語学研修および現地調査員として1年間送り出しています。
 元々本人から語学留学に行きたいという相談を貰った事を発端として、会社としてもバックアップをし、まずは当社が弱い英語力を身につけて貰う事は当然ながら、中国圏以外の活きた情報量の少なさを補う意味と、現地でのコミュニティ形成による将来の可能性にかけるために送り出す事にしました。

 しかも限りなく意志決定ラインに近い人間が行くとなれば、将来の可能性はかなり広がるのは間違いないという判断の元です。

 出発前に本人は周囲から「恵まれているね」などと言われた事も多かったようだけど、本質的にはこのように将来の自分自身と、そして会社にとって必要不可欠な事に対して行動を起こしてくれる意識の高いメンバーがいる事自体、当社にとって幸せな事であり、何年か経った後にこういった積み重ねが高い成果に繋がる事を願ってやみません。

 という事で前振りが長くなってしまいましたが、現地に到着して間もない状態でのレポートが上がってきましたので、抜粋してシェアしたいと思います。

皆さんお久しぶりです。
わたくしは現在イギリスの首都ロンドンにいます。
日本を発ってから早10日が経ちます。
フライト時間13時間、入国審査2時間、住居までの移動1時間と合計16時間というタフな旅路でした。

ロンドン滞在理由の一番の目的は英語を修習/取得することです。
近い将来、いや既に今日の日本企業はグローバル化が迫られている状況となってきています。
また、自分の今後先の長いビジネスライフにおいて英語という言語は必須になると考えたため渡英した次第です。

ロンドンはじめヨーロッパの経済状況、ビジネス状況や文化状況などなど、幅広く日本の皆さんにお伝えできればと考えています。しかし、現在の私の英語力ではコミュニケーションが何とか取れるレベルですので、有益な情報や濃い情報を得られていません。
初回に関しては到着して1週間少しが経ち、私が感じたことを中心に記します。

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まず、イギリス及びロンドンという都市の基本情報について簡単に記載したいと思います。

  1. イギリスの人口は日本の約半分、約6,000万人。
  2. 面積は日本の約2/3。
  3. 全体のGDPは世界7位で2兆2,000億ドルで日本の約半分。(日本は5兆5,000億ドル)
  4. 法人税は28%と日本の40%に比べると少し低い。
  5. 通貨はユーロではなく独自通貨のポンドを採用。(現在は1ポンド約130円)
  6. 日本との時差は9時間。(日本の方が早い)
  7. ロンドンの人口は東京の約半分、約750万人。
  8. ロンドンにいる48%の人達は外国人というコスモポリタン(多国籍)都市。
  9. 世界最大級の金融街で有名。
  10. 中心部から外側へ同心円状にゾーン1~9と区分。
  11. ※地下鉄は駅ごとではなくゾーン単位で費用が異なります

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滞在して1週間少しですが、カルチャーショックの連続です。
良いこと・悪いこと様々ではありますが、全てポジティブに受け止めています。
その国を一番理解するためにはその国の掟に従うことだと考えるからです。

さて、私が感じた様々な点について以下記載していきます。

◆英語
・観光地にいるわけではないので、あらゆるシーンでのコミュニケーションにおいて、相手は勿論のことですが自分が英語を話せる前提で接してきます。こちらが言葉に詰まっても助けてくれませんし、汲み取ってくれようともしてくれません。
 英語が話せない=「意見がない」「何も考えていない」と見なされてしまいます。
 時たまくじけそうになりますが、何とか振り絞って話しています。

・渡英準備中はそれなりに英語の勉強をしていたつもりではありましたが、僕が勉強していたのは英語ではなく米英語でした(日本の学校教育における英語は勿論米英語です)
 それらはアクセントやイントネーションが大きく異なります。
 現在では少しずつ慣れてきましたが、現地人の会話はまだ聞き取れないことが多いです。
 また、「r」と「l」の発音に悩まされています。日本語ではラの発音は一つですが、英語では2つです。日本語のラは「r」になりますので、例えばBlueを「ブルー」と発音しても伝わりません。それぞれ意識的に強調して発音することで慣れるようにしています。

・若者スラングとなってしまいますが、こちらでは男性は「cool」、女性は「lovely」を多用します。日本語でいう(いいね)です。
 イケてる若者は「sick」と言います。アメリカでいう「bad(ヤバい!!)」でしょう。
 日本でもよく使う「cheers」は、(乾杯)だけでなく(ありがとう)の意味でも使います。

◆住について
・コスモポリタン都市ということもあり、ありとあらゆる人種が混在しています
 セントラルは勿論ですが、エリアに応じて各国のコミュニティが存在します。
 中国人のコミュニティ、インド人のコミュニティ、バングラディッシュ人のコミュニティなどなどそれぞれのエリアではそれぞれの文化を大きく感じることができます。

・治安の善し悪しは、エリアごとではなくブロックごとで異なります。
 高級住宅エリアにも治安の悪いブロックがあったりします。例えば、映画「ノッティングヒルの恋人」で有名なノッティングヒルエリアはかなりの高級住宅街ですが、ブロックが異なるだけでジャマイカンコミュニティが存在していたり、治安があまり良いとは言えなかったりします。

・どの街も決してキレイとは言えません。ゴミが散乱していることが多いです。
 タバコも基本はポイ捨てです。(法律上では罰金なのですが建前だけなのかもしれません)

◆食について
・物価は東京とほとんど変わりません。
 以前までは東京の2倍ほどなんて聞いていましたが、それは1ポンド250円の時代です。
 しかもスーパーなどでは日本より圧倒的に安いです。オーガニックフードも日本より断然安いです。

・どこへ行ってもケバブ屋、インド料理、中華料理、ファストフードがあります。
 セントラルではこれに加え日本料理、韓国料理、イタリアン、フレンチなどがあります。
 一食あたりの費用は日本と変わりません。ただ、味は日本の方が断然美味しいです。
 美味しくもなく、不味くもなくといったところでしょうか。
 カフェは非常に可愛らしいお店が多く、大抵はWi-Fiが繋がっています。

・パブがいたるところにあります。もはやこの国の一つの象徴でしょう。
 ビールは一杯あたり大体3ポンドほど。結構安いです。平日の昼間から一杯ひっかけているビジネスマンをよく目にします。夕方17時頃からは店内は人で溢れかえっています。
 そのため冬でもお店の外で立って飲んでいる人が多いです。

・飲食店は店内禁煙です。喫煙OKのお店を見たことがありません。
 そのため喫煙したい場合は、外席があればそこに、無くても外に出て吸います。

◆衣について
・とにかくロンドナーはお洒落です。雑誌「HUGE」に出てそうな人をよく見ます。
 多くが細身のファッションです。

・セントラルにある高級デパート「セルフリッジ」には中国人のお客さんが沢山いました

◆英国人について
・ホームステイ先の家族達やその他のイギリス人とコミュニケーションを取っている中で、イギリス人と日本人の似ている点を感じました。
 それは「相手との間・距離感」です。相手の間に土足で踏み込まず、少し距離を置きながらコミュニケーションを取るイメージです。比較的内気でシャイな性格と見受けられます。

◆建物について
・建物の外観がとにかく可愛いらしいです。
 初めの頃はディズニーランドにいるのかと思いました。
 金融街には無機質で近代的な高層ビルが建設されていますが、それはあくまでもロンドンの新たな「顔」なのでしょう。
 古く伝統的な顔と、新たな顔がバランスよく融合していると感じます。

◆交通について
・日本と同じように多くの地下鉄が通っています。
 ただ初乗りが4ポンド(約530円)と非常に高く、人々はあまり好んで使いません。
 どの線も銀座線のように横幅が狭いです。ジェントルマンの国ということもあるのか、女性に席を譲る方々を多く見かけます。素敵ですね。

・バスはダブルデッカーと呼ばれる2段バスが多いのですが、ロンドナーはとにかくバスを使います。
 バスは1.35ポンド(約180円)と安いのと、24時間で走っているためです。
 本数も日本の倍以上、また日本とは違いクモの巣のように各方面に張り巡らされているため、あらゆる場所へ行く事ができ非常に便利です。

・バス、車共にとにかく運転が荒いです。狭い道でも全速で飛ばしているので非常に危なっかしいです。

・信号はあってないようなもので、赤信号でも車が来ていなければ渡ります。
 乳母車を引いている方でも同じようにしています。
 どうしても車が混んでいる時のみボタンを押します。

◆カルチャーについて
・日本のアニメ、ゲームが好きな人たちが多いです。日本で有名なアニメ、ゲームは大抵知っています。

・音楽は、POPSはイケてない音楽と位置づけられています。
 日本の音楽に興味持っている人はほとんどいません。(当然ですが…)
 いても昔のアニソンくらいでしょうか。
 その一方でK-POPを好む人は比較的多いです。音がカッコいいからでしょう。
 ロンドンナー曰く、K-POPはヨーロッパへのアジア音楽の道を切り開いたと言っています。

・皆ナイトクラブ(踊るクラブ)によく行きます。沢山あります。
 若者だけではありません。どのクラブもチャージが10ポンド(約1300円)以内と安いのも魅力的です。

・皆フットボールが大好きです。フットボールが生まれた国だからでしょう。
 プレミアリーグの試合がある時のPUBの盛況ぶりは凄いです。

◆日本人について
・多くの人は、日本人/韓国人/中国人の見分けがつかないと言います。
・多くの人は、日本はお金持ちな国の印象を持っています。
・多くの人は、東日本大震災を心配しています。
・多くの人は、日本人を非常に好んでいます。
 

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