中国EC第2位「京東集団(JD)」社の農村ECについての取り組み
前回、アリババ社の農村部におけるECの取り組みについて投稿をしました。
(当社コラム:中国の農村部とECについての新実態)
中国のEC市場における第2位の「京東集団(JD/ジンドン/JingDong)」社も2015年頃からアリババ社同様農村部へのEC進出を加速させており、大型家電や大型家具などの配送・取り付け・組立を行うカスタマーサポートセンターを急激に増やしています。
京東社はECモール型(楽天のようなBtoBtoC型EC)のサービスと、自営店型(amazonのような消費者への直販売)のサービスを組み合わせた中国EC企業で、2015年12月のiReserch社発表のデータによると中国のECモール型においてアリババが運営する天猫(Tmall)が57.8%で、京東商城(JD.com)は2番手の23.3%のシェアを誇っており、また、自営店型の規模としては中国で1位のサイトでもあります。
急激にシェアを伸ばしている背景としては、京東社の最大のサービスである「7日以内は無条件返品OK」と「ラストワンマイルの自社配送網」が挙げられると思います。越境型で出店している店舗にはこの「7日以内~」は適用されませんが、徹底してサービスクオリティを高度なレベルに底上げし、平準化していくという戦略が非常によく分かります。
◎中国EC第2位「京東集団(JD)」社の越境ECについて
2015年6月に日本製品専門サイト「日本館」をオープンさせており、当社が運営権を頂いている日本メーカー様の「モール内旗艦店」を複数こちらで店舗開設しております。
2016年8月発表のデータによれば、京東社はベースの物流センターが7都市。前線物流センターが23か所。倉庫が234か所。配送・集荷センターについては6,756か所となり、その配送専任社員は6.5万人ほどの規模感になっています。
このように前線まで自社配送網を構築すると、到着時に綺麗な状態で届くなどのメリットが大きく、徐々にサービスレベルの向上を望む中国において「選ばれるECサービス」になっていく事は容易に想像できると思います。
京東社はアリババ社の農村EC戦略に対抗すべく、このように全国規模に広がる広大な自社輸送網を武器に、工業品販売/生鮮品販売/農村向け金融を強化する戦略(Factory to Country、Farm to Table、Finance to Countryの頭文字を取って通称3F戦略と呼ばれている)を打ち出しています。
アリババ社の場合は農村部向けのECについては配送センターもカスタマーサポートセンターもフランチャイズ形式で拡大していく戦略である事に対し、京東社は直営の配送センターと前述した大型家電や大型家具などの取り付け・組立を行うカスタマーサポートセンターはフランチャイズで形成しています。
その規模として、配送センター800か所。カスタマーサポートセンター1200か所。これら京東社の農村ECに従事している前線スタッフは15万人を超えると言われています。
つまり購入時のサービスだけでなく、配送時のサービスまで、想像している以上の速度で農村ECは発展してきている訳です。
当然、中国の広大な農村部に対してはまだまだ未整備な地域も多く、そもそも物流コストが高いという課題など、発展途上である事は間違いありませんが、日本企業においても無視できない市場になっていくと感じざるを得ません。