中国のEC市場における網紅(ワンホン)の影響力の大きさについて(後篇)

先週投稿した中国のEC市場における網紅(ワンホン)と呼ばれるインターネット上のインフルエンサーの話題について、表と裏、光と影をお伝えすべく、成功事例に隠されている「課題」について本日はまとめたいと思います。 

◎中国EC市場における網紅(ワンホン)の存在感

前回の投稿の通りこのプロモーション手法は、網紅たちが微博(ウェイボー)や微信(WeChat)のモーメンツ(いわゆるLINEのタイムライン)や動画共有サイトなどで商品を紹介すると、多くのフォロワーたちがショッピングサイトにアクセスして購入していくという、中国EC企業にとっては非常に重要な手法に成長してきています。

人気の網紅は100万人以上のフォロワーを抱えており、中国EC販売において、わずか数分で爆発的な売上を作りあげたケースや、当社自身の実績としても前月の3倍の売上を作り上げたケースなどもあります。

こうした網紅を活用した新たな中国マーケティングは、網紅たちの存在感をより大きくしつつあり、この数年の間に数兆円規模になると言われています。

 

この流れの中で中国/日本それぞれにおいて関連したサービスが数多く産まれてきているため中国への越境EC事業を営む日本企業にとっても利用しやすい環境が整ってきてはいますが、従来のオンライン広告と異なり、デジタル的に使えるかというとそうではありません。

 

◎網紅(ワンホン)を活用した中国マーケティングの課題

従来のオンライン広告においては、PV数やクリック数、アクションを起こした数などが全て明確に保証されている商品群が多いのに対し、あくまで人(=網紅)が「自身」で投稿する必要のあるこのプロモーション手法は、どうしても個別に対応していかなければいけないケースが出てきます。

 

例えば、同じ1万フォロワーという数を見ても、投稿者によって成果が違い過ぎる事があります。これはゴーストフォロワーと呼ばれる問題で、網紅たちも自身の投稿の価値を上げるために無理やりフォロワー数を増やすという事が実際に起こっています。

このフォロワー数の真贋については、きわめて経験とノウハウが必要な領域であり、どうしても100%は防ぎきれないため、ある程度こういった事が起こっている事を含んだ上で目標数値の設計などをしていく必要性があります。

 

また現在の受給バランスは網紅側が強く、このように供給側が強い場合、中国では提供コストが自然と、そして早いタイミングで急上昇する傾向があります。

つまり先月と同じ網紅に同じ内容で依頼をしても、予算が異なるという事も十分にあり得ます。

 

また、24時間掲載したらその投稿を下げても良いという暗黙ルールなども広がりつつあり、物事をきちんと把握し進めたい日本企業としては「やりづらい」と感じるケースが多々あるのではないかと考えられます(つまり「中国だから」と飲み込める範囲を持っておくのは非常に重要と言えます)

 

これらの新たな課題を解決するために、

・網紅(ワンホン)の強いジャンル/カテゴリをきちんと把握する。

・網紅(ワンホン)の普段からの投稿のスタイルもきちんと把握する。

という事が挙げられ、何より1人に固執しない。という事も非常に重要と言えます。

 

当然自社では難しいという事が考えられますので、前述した「結果のバッファ」を理解した上で、中国のマーケティングをよく理解している広告系企業に依頼し、トライアンドエラーの中で自社にふさわしい中国マーケティングの手法について勝ちパターンを見つけていって頂きたいと思っております。

そうなれば、たったの2時間で1万本以上の口紅が売れた某大手メーカーさんの実績のように、中国越境EC事業においても大きな成功事例を作る事が出来るはずです。

 

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中国のEC市場における網紅(ワンホン)の影響力の大きさについて(前篇)