中国のEC市場は何故拡大しているの?

2015年には50兆円を超え、統計によっては70兆円に至るという数値すら出ている中国のEC市場は(統計データがあまり参考になりにくい国だとはよく言われますが)少なくとも日本の数倍の規模があるのは確かな事実になってきています。 

◎中国ECが伸びた背景

中国では、国民の大半がテレビなどのマスメディアの情報が検閲を受けているためつまらないと思っている事や、都市部と農村部の距離の遠さから日常的な家族とのコミュニケーションの手段として、インターネットが急速に普及してきた背景があります。

 

日本では「駅前」に行けば、書店もドラッグストアも、そしてターミナル駅であれば百貨店やアパレルショップ、DVDなどのレンタル店など様々な店舗が揃っているのは当たり前だと思いますが、中国ではこういった環境が整っているような「駅前」はまだまだ珍しいのが実情です。

特に日本製品を選びたい方など、購入商品にこだわりがあればあるほど難しくなっていきます。

従来華僑の方たちには、同じ(カテゴリの)商品を皆で集まって売った方が全体の売上が底上げされるという考え方があり、それを受けていわゆる小売店は問屋街的な状況になる傾向があります。

 

いわゆる薬ばかり売っている町だとか、洋服ばかり売っている町だとか。

 

さらに交通インフラは上海などの一部の都市を除けばまだまだ発展の余地があり、色々な商品を一日で買おうと思うと物理的にハードルは高く、結局大きなショッピングセンターやスーパーに行く他なくなります。

このショッピングセンターやスーパーは当然定価で販売されていますし、日本のショッピングセンターと比較すると大きな店舗が多いのは確かですが、実店舗とネットショップでは品ぞろえがまったく比較にならない事や、運営コストも小さく価格に転嫁しやすいECに集中してくるのはごく自然な事な訳です。

 

◎小売市場における中国のEC化の高さ

日本は(広義/狭義の考え方によって差異はありますが)数%と言われているEC化率について言うと、中国(小売市場における)EC化率は、2015年時点でおよそ16%に達しています。

2019年には、33.3%まで伸びるという予想があり、日本やアメリカなどと比較しても世界的には圧倒的にEC化率が高いのが実情です。

 

前述した通り、これが自然な流れな訳です。

 

しかしそれでも中国全体の消費総額から見ると1~2割程度である事から、今後の中国のEC市場の成長余力がすさまじい事が分かってきます。

このように成長著しい中国のEC市場ですが、当然日本中国間の越境EC市場も拡大しています。これらの中で発生している新たな問題については、先日 中国のEC市場における新たな問題とは? で投稿していますので、ぜひ合わせてご覧ください。