中国の国土の特徴とブランディングターゲット選定についてのアイデア

先週は15年ぶりに1週間ほどタイに行って参りました。
ご存知の通りタイは熱帯モンスーン気候で、高温多湿、年中暑いという環境で、ちょうど春前の日本から旅立つとその気温や湿度の差を強く感じることになりました。

特にムッとした高い湿度の空気に触れた時、ふと1つの事が頭によぎりました。
それは「この国で保湿、特に乾燥対策のオイル系の美容液は必要ないのではないか」という事です。

率直に言えばこのことは当たり前の事でもあり改めて口にするような事でもないように感じるのですが、ここでお話したいのは、アイディールがブランディングやセールスを行っている中国でも気候などをベースにしたターゲット戦略を考えなければいけないのではないかという事です。

 

そもそも中国はロシア、カナダ、アメリカに次いで世界で4番目の国土を持ち、当然アジアでは最大で、日本のおよそ25倍ほどの面積があります。

南北にはおよそ5500キロ。東西にもおよそ5200キロの距離があります。
ユーラシア大陸のほとんどを占めており、富士山よりも標高の高いチベット高原からヒマラヤ山脈までがあり、山岳地帯や、寒冷な地域に温暖な地域、それに内陸地帯などいわゆる気候区分自体も様々です。

気温差については寒冷地域のハルピンと熱帯地域の広州の平均気温を見てみると、およそマイナス25度から35度となっており(地球の歩き方 )、それは60度もの差となっています。

※中国の観測史上最高低の気温としてはマイナス52.3度から49.6度までの差があったという記録もあり、最大では100度ほどの差があります(中国まるごと百科事典

 

そもそもこの気温差の中で製品品質が担保できるのかという問題が考えられます。
ここに目を向けているメーカー企業を見かけた事はありませんので、過酷な環境に対する品質担保を戦略的にブランディングするという手法も考えられると思います。

 

しかし何より、このように湿度、空気、水、すべての環境がここまでまったく異なる全土を対象に、同じ商品が売れるでしょうか

商品ブランディングにおけるターゲット戦略は最も重要な考え方ですが、こういった市場環境の中であえて地域を絞ってカクテルパーティ効果(パーティなどの雑音の中でも相手の話や自分が興味のある話題については聞き取る事が出来ること)を用いたマーケティングを行うのは有効であると考えられます。

カクテルパーティ効果を用いたマーケティングはインターネットビジネスにおいては比較的当たり前の考え方ではありますが、マスを対象にメッセージを投げるのではなく、ターゲットに声をかけるようにメッセージを投げるという事です。

 

例えば自社の美容液の特徴としてしっとりとした質感を与える事が出来るなら、乾燥の厳しい寒冷地域に住む人たちだけに向けたメッセージを作る、といった手法です。

例)ハルピンの冷たい空気にお肌がパリパリの方へ
例)北京の乾燥に対抗したい方へ

といった具合です。

 

日本国内でのマーケティングでは、ユーザーインタレスト(興味や関心)から絞り込みを行ってメッセージを投げる手法は、コンバーション率を向上させるためには当たり前にはなってきていますが、中国ではさらに地域特性といったものに目を向けてみると、より深みのあるブランディングが可能になるのではないでしょうか。