中国ECの適切なブランディングについて

中国ECでうまくいかないケースはいくつかのパターンがありますが、その中の1つとしてプロモーションから売り場作りまでの一貫性(ブランディング)が作り切れていないという理由が挙げられます。

一貫性という言葉を使うと、どうしても

「ターゲットに沿った広告」→「最適化されたLP(ランディングページ)」→「自社ECサイトの販売ページ」という流れが出来ていれば良いのではないかと考えられることがあります。

 

しかし現実的に中国のEC市場ではここまでシンプルでないことが多々あります。

 

その大きな理由としては、ターゲット分析において中国人は日本人に比べると非常に複雑である事が挙げられます。それはそもそもの人数が多い事。民族や地域の風習の違い、生活環境の違いなど、単一民族国家の日本人よりもはるかに複雑な文化形成の土壌があるからです。

 

つまり従来、ある程度の「塊」で考えていたターゲットと、それに合わせた戦略でマーケティングを行っていれば一定の成果を得られていた所、その塊が細かく分かれているため、それぞれに合わせていかなければいけないという事です。

 

そこで当社はその対応策として、

・適切な検索エンジン対策

・適切な売り場作り

の2つを提唱しています。

 

適切な検索エンジン対策とは、SEOで自社の販売サイトを検索上位に持ってくる事ではありません。

 

メーカー/商品サイトの中国語化も重要ながら、最も重要なのは商品やサービス提供主体者(メーカー企業など)以外が当該商品について、いかに第三者視点として情報を発信してくれているサイトやページを増やすか、という事です。

 

中国でインフルエンサー(網紅)マーケティングが有効だと言われている理由は、中国の消費者は第三者からの意見を集めた上で総合的に判断するからです。

日本以上に販売サイトのレビューを重要視する傾向も強く、こういった所のケアが非常に重要だと言えます。

 

次に適切な売り場作りに関していうと、自社の販売サイトに消費者を集約する事は利益率が高く(その分顧客にも還元が出来るので)好ましいと思います。

長い目で見れば正しい考え方でもありますが、現実として短期的に収益を伸ばせない事が多いのも事実です。

つまり正しい情報を正しく掲載していれば信頼を得られ、結果として購買に繋げられると考えがちですが、これがうまくいかない。つまり、間違いの根本でもある訳です。

 

これは何故でしょうか。

 

それは、自社サイトの場合、第三者が客観的にその信頼を担保してくれないという理由が挙げられます。

Tmall、京東、TaobaoなどのECモールは、プラットフォーム側がその信頼を担保してくれる仕組みがあります(参照:当社コラム「中国におけるECユーザーの消費心理」

 

つまり中国でのブランディングの初期段階においては、自社サイトの信頼を得るためにあえてECモールに出店する事でブランドの価値を高めていくという手法があります。

その他、あえて利益が取れなくてもインターネット以外のテレビや雑誌などのメディアと連携させて信頼を与え、長い目で見て「最も売りたい売り場」に繋げていくという考え方を持つべきです。

 

中国にはまだ手付かずの8億人が存在しています。

 

短期的な成果だけを求めるのではなく、自社のブランドを中国に根付かせる事が出来れば将来的には充分大きなリターンが取れるはずです。

当社からはその未来に向けて、適切なブランディングを行っていく事をお勧めしています。