中国ECで商品名の「ある点」が重要だよ、というお話。

まずはこちらの2つの中国語をご覧ください。

 

1.让一切消失爱吃的秘密武器

2.让脂肪消失痩身爱吃不胖的秘密

 

実はこれは両方とも、同じ商品の名前を指しています。

アイディールでもお取引をさせて頂いているグラフィコ様の「なかったコトに!」というダイエットサプリメントの商品名です。

何故、このように同じ商品なのに異なる名前が掲載されてしまっているのでしょうか。

 

中国国内では、商品を販売する際に基本的にその名前は全て中国語(つまり日本語的に言うと「漢字」)に変換する必要があります。それは「物」だけにとどまらず、コンテンツの分野も含めてそうなっています。

しかし中国は日本のおよそ25倍の国土面積があり、日本以上の物理的距離による南北東西の文化や風習の違いが存在します。さらにはおよそ90%が漢民族ではありますが、56もの民族に分かれている事から、方言や民族独自の言い回しなど、実は言語を完全に統一していくのが非常に難しいという背景があります。

 

そもそも英語であればそのまま使う事も出来ますが、日本語のひらがなやカタカナの場合は中国語に変えなければそもそも中国国内でその文字を読む事もパソコンやスマホで入力する事も出来ません(※)

(※)ただしあえて一部に日本語を入れる事で、あたかもその商品が日本製である事を想起させるようなマーケティング手法がある事も事実ではあります。

 

例えば、浜崎あゆみは、浜崎歩。ドラえもんは、意訳では机器猫。音訳(日本語の読み方に近い発音)では、多拉A夢。そして、アンパンマンは面包超人(面包は「パン」の事)だったりします。

 

上記のようにすでに知名度のある名前については統一がはかられていますが(音訳のドラえもんの読み方が生まれたのは、随分時間が経ってからですが…)、外国産の新商品については、デジタルマーケティング的に非常に厄介な課題になる可能性があります。

 

日本メーカーの商品が日本国内で売られる際に、売り場によって商品名が統一されていないなんて事は普通起こらない事ですが、中国ではこれが簡単に起こり得るという事です。

つまり冒頭の「なかったコトに!」に関しても、検索エンジンで商品名を検索した際にネーミングが複数にバラけてしまっているので、最適化がはかれていない状況であると言えます。

 

特に中国のEC店舗は「隣のお店で売れている商品」を自分達も売りたいという行動モチベーションが強いため、火付け役になった店舗や情報発信者(インフルエンサー)の選んだ中国語がそのまま中国国内における統一ネーミングになりやすい背景があります。

 

しかし、実際にはメーカーが意図していないネーミングであるかもしれませんし、そもそも実は元々違う名前で販売していたかもしれません。

 

今後は日本で新たに商品開発をする際に「中国での販売」も想定をするケースが当然増えてくると思います。

その際にひらがなやカタカナだけでなく、漢字を使ったり、商品名を中国語にしたら誰もが同じ言葉を使いたくなる。という仕掛けにも気を配るべきです。

 

そして中国国内のマーケティングにおいても、検索エンジン対策として統一した商品名を各所にちりばめる事や、序盤戦で厚めにインフルエンサーマーケティングを行う事などで、その後販売者が増えたとしてもネーミングがばらつく事がないように気を配る事が非常に重要であると言える訳です。