中国の春節(旧正月)における新しいマーケティング手法

新年明けましておめでとうございます。

旧暦を基準とする中国では、今年は1月28日(土)が正月でした(毎年日にちが違います)

 

この(旧暦)年末年始期間のお休みは中国では春節と呼ばれており、この間に中国国内では延べ30億人が大移動するシーズンでもあります。

近年では春節期間中に運営している店舗も徐々に出てきてはいますが、基本的には中国全土が完全に休みに入ります。

中国ECの世界でも、カスタマーサポートなど店舗運営自体がストップしますが、そもそもECの要である物流自体が正月の1週間ほど前からストップしていきます(日本郵政のウェブサイトでは春節期間中も物流は動いているとされていますが、厳密には一部の交換局や税関などが稼働しているだけで通常のボリュームに耐えられるような状況になく、また何よりも国内の輸送会社がストップしますので貨物はほとんど港に止まります)

 

さて、そんな国をあげた中国のお正月ですが、お正月と言えば「お年玉」ですね。

 

中国では「紅包(HongBao/ホンバオ)」と呼ばれており、その由来としては赤をあしらった祝儀袋「紅包袋」を用いることから通称として用いられるようになりました(日本で「ご祝儀」と呼ぶような感覚です)

 

日本のお年玉は基本的には大人から子供に渡すものですが、中国では(基本的には)お世話になった方々へ渡す事が文化となっており、社会に出た子供が里帰りの際に両親に渡したり、よく行くお店の店員さんに渡したり、上司や会社が部下/従業員に渡したりといった事もあります。

 

近年中国では、ECに限らずあらゆるネットサービスでこの「紅包」をマーケティングの企画として用いるようになりました。

 

2014年にTencent社が提供している微信(WeChat/中国のLINE)で「自分と繋がっている人に向けて紅包が贈れる」企画と機能を提供した事で一気に火が付きました。

そもそも微信の紅包がどのような仕組みかと言いますと、まず基本的にこの仕組みは「お年玉」として、個人やグループに対して現金が送れるものです。

この時、例えば10人のグループがあった時、そこに対し任意の人数を対象としてお金を配り、グループに属している人たちは早い者勝ちで受け取る事が出来ます。しかし、その受取金額の配分がランダムになるというくじ引きのようなゲーム性もあり、早い者勝ちの要素と相まってスマホ画面から目が離せなくなるという見事な企画でした。

 

この年には、およそ2億人が現金の受け取りのために微信と銀行カードを繋げたと報道されており、アリババの電子決済であるアリペイが8年かかったユーザー獲得がたったの2日間で達成されました(出典: http://blog.sina.cn/dpool/blog/s/blog_8a025d5c0101ptn7.html

 

この記事内にも記載がありますが、もしその内30%が100元を送っただけで60億元がTencent社に流れ込んできた事になります。一時的とは言え、利子収入も相当だったと想像できます。

 

このとんでもない成功を受けて、現在ではソーシャルサービスではこぞって紅包の機能を設け、これをあらゆる企業が有効活用しているのが実情です。友人知人に現金をプレゼントするというダイナミズムが今の中国を体現していると思います。

 

ただ中国に限らず、現金をプレゼントするプロモーションは参加率を高めるのは有効な手段である事は一般的です(マーケティング目的上、これが良いかどうかは別として。認知を獲得したり、自社会員の獲得などには非常に有効だと考えられます)

 

実際に当社でも当社取り扱い商品のマーケティングのために微博(Weibo/ウェイボー/中国のTwitter)を活用しており、そのフォロワー獲得のために継続的にあらゆるプレゼントキャンペーンを行っています。

 

いずれプレゼント内容による獲得率の違いなど、ここでご紹介出来たらと思います。