中国におけるECユーザーの消費心理
当社アイディールはBtoBおよびBtoCで中国に向けた越境EC事業を運営しております。
現在売り上げの中心になっているのはBtoBの卸販売ではありますが、BtoCの小売販売としては卸でお取引している日本のメーカー企業様の中から、当社が独自に目利きし選ばせて頂いた会社様の「ECモール内の旗艦店(オフィシャルフラッグショップ)」を当社が費用負担して運営させて頂いております。
こういった動きをしているのは、当社では中国人消費者の購買心理を重要視しているという背景があります。
本日はこのような中国EC市場における消費者心理について書かせて頂くつもりですが、この話をする前にまずはアリババ社とJD社が提供するECプラットフォームが消費者にどのように「信頼」を提供しているのか。について説明したいと思います。
アリババ社のTmall(天猫)とJD社のJDモール(京東モール)はBtoCの「企業が消費者に商品を直接販売する」プラットフォームですので、メーカー企業もしくはメーカーから正式に運営の権利を授受した企業がECショップを運営しています。
特に、運営権を授受した企業には出店審査の際に「メーカーから発行された(旗艦店を運営する権利を与えた)授権証」の提出を求めるなど「確実に本物の商品が売られる」事が担保させられています。
つまりこのように出店審査そのものを通じて、消費者に「信頼」を提供している訳です。
かたやCtoCのプラットフォームであるTaobao(タオバオ)は、購入者評価による信用制度を設けており、その信用度によってそもそも出品数や広告出稿などが制限されるなど、厳しくショップをランク付けしています。
これにより、そもそも消費者はランクの高い所で購入するという行動を取るため、新規出店した店舗は早い段階から売上を伸ばしていくのが非常に困難な仕組みが用意されている訳です。
つまりランクが向上した店舗は「わざわざ偽物を売ってランクを下げられたり、運営を停止されたりする」リスクを冒す必要やメリットが何もない。という環境を用意し、消費者に「信頼」を提供している訳です。
アリババ社やJD社はそもそも偽物に対して厳しい取り締まりも行っているため、上述の通り、益々この2大プラットフォーム上で偽物を売る意味がなくなってきています(現在はスマホのマイクロECなど表面に出づらい所で偽物が売られるという流れに変わってきています)
しかし、それでも中国の消費者はECで商品を購入する際に「偽物があるかもしれない」「偽物に騙されたくない」といった気持ちが強く、ショップに対して警戒心が強いのが実情でもあります。
そこで我々は「安心して購入が出来るECショップ」の存在として、メーカー様の名前で運営されている旗艦店を推進しています。
また、この中国人消費者の心理については、そもそも商品の品質に対しても非常に警戒心があります。ですので「他人のレビュー」を日本人以上に重要視します。ここで丁寧なコミュニケーションを行う事は「(中国で重要な)いかに信頼を得ていくか」の大事な戦略であると言えます。
他にも、複数の店舗で同一の商品が売られていた場合、その値決めについても消費者心理を考える必要があります。
市場の平均価格よりも明らかに高すぎる場合は単純に消費者に購買意欲を与える事は出来ません。これは当然の事ですが、実は、逆に価格が安すぎる場合も中国人消費者には警戒心をあおる結果に繋がります。
安いなりの理由がきちんと説明されていなければ、偽物だから安いのではないか?と思わせてしまう訳です。
このようにそもそもメーカーや店舗側が一方的に発信する情報を疑ってかかるという行動パターンが存在する事で、中国EC市場では口コミなどを参考にする事が増え、網紅などを活用したインフルエンサーマーケティングが有効に働くようになってきています。
ただし今後は、新規購入者に情報を提供したり質問に回答するような「店舗や商品に対するファン組織」を作っていくなど、より複雑で泥臭い口コミマーケティングが必要になってくると当社は考えています。