2016年中国EC市場のトレンドまとめ

9月頃から毎週中国ECや越境ECに関連したコラムをお届けして参りました。2016年の掲載に関しては本日が最終日ですので、最後に今年の中国EC市場に起きた大きなトレンドについてポイントをまとめたいと思います。

2017年もメディアが掲載しているニュース以上に中国のEC市場に向けたマーケティング手法や販売方法、トレンドなど、単純なデータからでは分からないような「生きた情報」について引き続きお届けしていきたいと思います。2017年は1月10日より再開とさせて頂きます。

さて、という事で2016年中国EC市場のトレンドです。

◎4月8日からスタートした中国EC市場における税制改革

今年最も大きな動きと言えばこれを外すことは出来ないと思います。改革後の新税制度内容についての細かい点は専門サイトなどに任せるとして、最も大きな変更点としては直送における越境ECでも、保税倉庫からの発送における越境ECでも、輸入許可証を求められるようになる点です。

 

税率上の問題については商品群によって良し悪しが出るようにもなりますが、何より今回の税制改革は個人の中国人バイヤーの排除が大きな目的となっており、実際に日本に買い付けに来ていたバイヤーたちが減った事に伴い、爆買い現象も終焉を迎えています。

 

今後は中国政府の目的をより理解し、きちんとした仕組みを導入する準備をしていく事も重要ですが、それと同時に、新たなルールが策定された瞬間にすぐに動きを変えられるよう、意思決定を現地に任せるなど身軽さや早さが求められていくようになります。

当たり前の話ですが決して国家間の貿易を完全にシャットアウトしていくという動きは戦争でもなければ起こり得ない訳です。

 

必ず対処方法はありますので、それに向けてすぐに動きを変えられる体制が作れているかどうかは非常に大事になってくるという事になります。

 

◎ネットインフルエンサー(網紅)の台頭

Weiboなどで多くのフォロワーを持ったネットインフルエンサーの存在や活用に関しては数年前から企業によっては積極的に活用されてきていますが、2016年のトレンドはなんと言っても直播と呼ばれる生放送であると思います。

 

プロモーションの文脈に登場する網紅は、自己表現の場として自らの特徴や特性をきちんと理解し、そしてそれを使いこなす方たちが多いのに対して、直播の世界にはこれとはまったく異なる人種が多いのも事実です。

 

つまり、特に何かを表現する訳ではなく、ただ食事やカラオケをしている風景を生放送するだけだとか…。しかし2012年頃から始まっていた関連サービスでは、このような「普通の子」たちが大量の視聴者を集め始めているのもまた事実でもあります。

 

そして、視聴者の投げ銭(寄付)で年収を1億円稼ぐなどの異常な状況が産まれています。

 

次はこのような生放送の世界にいる新しいタレントの発掘やコラボレーションは企業のプロモーションにおいても非常に有効になってくると思われます。

 

◎CtoCからBtoCへ

誰もが(個人でも法人でも)簡単に、そしてコストがかからず出店できたため、中国ではCtoCマーケットプレイスでのECが主体でしたが、2015年にはとうとうBtoCがその比率を抜き、2016年にはさらに伸びてきました。

 

偽物が多く、アフターサービスも質が低いCtoCマーケットプレイスは現在の中国にとっても積極的には利用したくない場所になっていくという事が見てとれます。

つまり、当コラムでも述べた事がありますが、日本流のおもてなしの気持ちを込めるという事は今後中国でもさらにウケが良くなっていくとも言えます。

 

顔の見えにくいECだからこそ感謝の気持ちを伝えるのが重要だと思いますが、日系のEC企業ですらサンクスカードを封入しているECサイトはほぼありません。

 

税制改革とBtoCへの流れは、共に個人排除の動きでもあります。

つまり今までは個人商店では得られなかった高いサービスが、当たり前のように求められていく事になるとも言えます。

 

◎都市部から農村部への拡がり

エリアが変わるだけでもまったく異なる国のようになるのもまた中国の特徴です。

 

例えば越境ECにおいても利用者の70%は女性に偏り、一般ECの売れ筋カテゴリがファッションアパレルであるのに対して、越境ECではベビーマタニティが売れ筋のカテゴリに変わります。

つまり、これは中国だけに言える事ではありませんが、「どこの」「誰に」売るのかによって、まったく状況が変わる事を改めて頭に入れておく必要があります。

 

その1つのトレンドとして都市部だけを見てきたECの背景から、さらに新しい「(農村部の)誰か」に向けた商品群の販売(開発など)が行える状況が確実に産まれてきています。

まだまだ中国のEC市場は伸びしろはありますが、それは今の市場の延長線ではなく、新しい市場だと思ってください。こういった新たな市場を開拓する事によって、年々30%の成長をしてきているという背景を覚えておいて頂くと良いのではないかと思います。

 

 

という事で2017年も中国のEC市場は動きが激しくエキサイティングな市場になると思います。まだお会いしていない皆様とご一緒出来る機会があれば良いなと考えていますので、もし何か気になる事があれば当社のお問合せフォームからお気軽にご連絡ください。

 

それでは皆様、良いお年をお過ごしくださいませ。