今年も拡大!2016年W11セールについての所感と面白ニュース

年々規模感を増してきた事で日本国内のメディアでも取り上げられる機会の増えてきた11月11日に実施されるアリババ社のW11(この呼び方もだいぶ固定化され定着してきた感じがします)セールイベント(※1)が先月も実施されました。

(※1)2009年から阿里巴巴(アリババ)グループは11月11日の「光棍節(通称:W11/双十一/独身の日)」にあわせて「天猫/旧:淘宝商城(Tmall)」で毎年行われる24時間限定の年間最大級のセールイベント。

中国越境ECに関連した当社のコラムで、他のメディアが投稿している内容と同じ事を書いても仕方がないと思いますので、この大きなセールイベントの裏で起きていたニュースをいくつかご紹介したいと思っています。

 

◎まずは中国ECセールイベントW11の情報についておさらいです。

このセールイベントは2009年から始まっており、昨年ですでに7回実施されています。

2009年 約5200万元(1円=13.0元/約68億円)

2010年 約9.3億元(1円=12.4元/約115億円)

2011年 約33.6億元(1円=12.2元/約410億円)

2012年 約191億元(1円=12.8元/約2445億円)

2013年 約362億元(1円=16.3元/約5900億円)

2014年 約571億元(1円=18.8元/約1兆700億円)

2015年 約921億元(1円=19.5元/約1兆8000億円)

http://www.alibabagroup.com/cn/news/press

そして2016年は約1207億元(1円=16元/約1兆9000億円)という結果になりました。

人民元ベースで2014年と2015年の比較で61%成長に対し、今年は前年度31%成長という結果になりました。

この通り、8年で実に2300倍以上の成長を見せています。

 

成長率は落ちているものの年々記録を更新しており、今年は前日のカウントダウンイベントもかなり盛大に行われていました(※2)

(※2)独身の日当日!アリババ、驚異的な流通総額を記録!(ECのミカタ)

 

元々W11は、アリババ社の中でもTmallのセールの日ではありましたが、最近では11月11日=アメリカのブラックフライデーに例えられるほど中国EC全体のセール日であるという認識が強くなってきました。

この辺りがアリババ社の強さではありますが、本イベント日において中国EC全体の中心的存在である以上に、もはや象徴的存在になっている事は本当に素晴らしいと言わざるを得ません。楽天スーパーセールを始めとした各ECモールの大きなセールイベントが=(イコール)日本最大のECイベント!というイメージにはなっていない事からも、これがいかに凄まじい事なのか良く分かると思います。

世間の認識の実態としては「W11の売上」と認識されているのは「アリババ社のセールの売上」である事が多く、メディアの文章の中から、それが中国EC全体の話なのか、アリババ社単体の話なのかをきちんと読み解く必要があります。

 

現在は、中国EC市場における第二のプラットフォームである京東商場(JD.com)を始めとした他のECモール/ECサイト・アプリなども11月11日には揃ってセールイベントを行っています。

ほとんどの会社が売上は非公開ですのではっきりとした数字は分かりませんが、一説によると11月11日だけで2兆5000億円ほどの取引が実施されているとも言われています。

ただ盛り上がり方はどうなの?と言われると、あくまで定性的な話にはなりますが、Tmallに比べると消費者側も熱狂的であるとは言えないのもまた実態ではあります。

 

また、昨年度はこのセールイベントの陰で新たな問題が起きており、過去のコラムでもご紹介ささせて頂きました(※3)

(※3)中国のEC市場における新たな問題とは?(当社コラム)

 

今年は中国国内のメディアでも同じ問題が取り上げられる事はありませんでした。

同じ事がまったく起こっていないとは考えにくいのですが、少なくとも報道には載っていないという事です。これの含みについては、中国と言う国を推して計るべし、というところかもしれません。

 

◎中国ECセールイベントW11の裏側ニュース紹介

そして冒頭で述べた通り、最後にW11の関連した裏側のニュースをいくつかピックアップしたいと思います。

 

・配達会社が効率良く荷物を搬送するため、高铁(中国の新幹線)を貸し切りして荷物の発送に使った。というニュース。

http://news.sina.cn/gn/2016-11-11/detail-ifxxsmif2828069.d.html?wm=3049_0015

毎年オーバーフローを起こし混乱する物流網ですが、まさかの輸送方法。

 

◎会社が社員たちに買い物させたくないため、わざと給料日を遅らせた。というニュース。

http://www.southmoney.com/redianxinwen/201611/846394.html

中国らしいほのぼのニュースですね(笑)

 

いずれにしても今後中国に向けた越境EC分野においても、このようなセールとの向き合いは戦略的に考えていく必要があると思います。

例えばパッケージ変更により日本国内の市場では売れなくなった大量の在庫を捌くなど、手法論としては以前に比べて非常に明快になってきていますので、このような事象の中で様々な企画を作り上げていって頂きたいと思っています。